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塾長 ブログ

Nihon / Nippon

2024/11/6

    今年のプロ野球日本シリーズはDeNAが勝利し日本一を達成しました。日本シリーズの英語表記は「Nippon Series」となっています。スポーツ応援と「Nippon」は馴染みがよく、「にっぽんチャチャチャ」の大声援は団体スポーツの国際大会でよく耳にするような気がします。
    日本を発話する際、「にほん」と「にっぽん」はどのように使用識別されているのでしょうか。特定の固有名詞でない限り、NHKアナウンサーの読み方は『場面に合わせて』決定されるそうです。
    10月11日、ASEAN首脳会議に出席するためラオスを訪問中の石破首相は、当日の首相会見の冒頭で、日本被団体協のノーベル平和賞受賞に対し祝意を述べました。この際、首相は同協議会名を『にっぽんひだんきょう』と呼びましたが、Wikipediaによれば、同名は『にほん―』です。首相は無意識で[意識的に]そう呼んだのでしょうか。
    かつて、哲学者の鶴見俊輔が、「にほん」ではなく「にっぽん」と発せられる際の日本人の心理の危うさについて、「集団心理」を醸成するのに「にっぽん」の呼び方が巧妙に用いられる可能性について著作に記していたように思います。
    おそらく鶴見は「Nippon」の破裂音[p]が平静をかき消し、扇動をもたらす可能性に憂慮したのでしょう。知らず知らずのうちに、沈思黙考を排除し、責任性を一考することもなく、一気呵成に激烈な集団行動に移行する国民性を心配したのだと思います。「にっぽん」と発せられる場面が『いったいどのような場面』か注意深く見る必要があると思います。

    第2回英検結果からのアドバイス

    2024/11/3

      第2回英検の成績表が送付されてきました。3級から5級受験者に向けた英検協会からの学習アドバイスをまとめます。
      ①単語や熟語は、意味理解だけでなく、発音したり書いたりできるように。
      ②単語・熟語・文法は、例文と共に覚えるのが効果的。
      ③内容を理解した英文を、意味のまとまりに注意して音読するのは効果的。
      ④疑問文では、最初の疑問詞(What, When等)に注意して何が尋ねられているかを把握。
      ⑤どのような場合に、音がつながったり弱く発音されたりして聞き取りにくくなるかをスクリプトを見て確認。
      ⑥聞き取る力を伸ばすには、単語や表現を学ぶ時、意味を理解するだけではなく、発音できるようにすることが大切。
      ⑦英語の音やリズム、スピードに慣れるために、手本となる音声のすぐ後ろについて英文を読む練習を。

      ぎゅっとした凝縮感

      2024/10/30

        英語らしい表現は「文の要素がぎゅっと凝縮している」ことが特徴です。例えば、主語(S)-動詞(V)は距離を縮めて表現されることがよしとされます。
        △To make friends is easy.
                S                 V   C
        It is easy to make friends.
            S V  C
        形式主語のItを立てた下の表現の方が、「SVC」の文の要素の凝縮感が高いですよね。では、下の2つの表現のうち、より英語らしいのはどちらでしょう。
        1. To make friends is easy.
         〈不定詞の名詞的用法:~すること〉
        2. Making friends is easy.
         〈動名詞:~すること〉

        勝負は僅差。to make firendsなら主部は3語ですが、making friendsなら2語です。しかし、実際の使用頻度はmaking friendsの圧倒的勝利。それだけ、頭を軽くした「軽快で、文の要素がきゅっと詰まった」表現が好まれるのです。

        合目的的思考

        2024/10/27

          考えるという行為。頭を使って考えているようですが、使っているのは言葉です。言葉を介在させることなしに思考するということはできません。今の課題をどう捉えるか、改善策をどう立てるのか、実施に向けて予め予想しておかなければならないことは何か。それらを考えるには言葉が必要です。そして思考が複雑化する時、それに立ち向かうことを可能にするのは言語的に蓄積された母語の力なのです。
          エキップは英語教室ですが、学習者の母語である日本語を豊かにすることが、外国語を受け取る際にたいへん重要な役割を果たします。
          学ぶ目的は自分を豊かにすることでしょうが、自らを現状批判することがなければ、自分の能力を最大化することはできません。自分とは別の、もう一人の審判員を持ちましょう。自らの現状批判を2つの視点(例えば、のび太とドラえもん)から行うことによって、現状分析はより確かなものになるはずです。
          自分を改善へと駆動させてくれるのは、自分自身の言葉の力です。自己批判をルーティーンにして、自らを合目的的思考で後押ししましょう。

          helpはmake化するか

          2024/10/23

            前回のブログで、使役動詞+O+(V)の形を、「よく使用される表現は省略が進行する」という言語の特性によるものと書きました。
            同じ形をとるものに、「知覚動詞(see, hear, feel等)」があります。また、今日では一般動詞のhelpも「使役動詞・知覚動詞」化しつつあります。

            [昔] He helped me to open the door.
            → [現在] He helped me open the door.

            ただし、meのような短い目的語の場合はhelp+O+(V)が一般的ですが、目的語が長くてhelpと(V)がまとまったものと一目で見えないような場合には、help+O+to (V)が普通の表現です。
            [長い目的語] He helped the little boy to open the door.

            上で目的語が長くて「help+O+(V)が一目で見えない」という言い方をしましたが、むしろ「音」の問題として理解する方が適当かもしれません。help me open [heup mí: óupnとリズムよく、一気に(V)まで発音できる場合は原形不定詞(V)、
            help the little boy / to open [heup ðə lítl bɔ'i / tə óupnと動詞と目的語を発音したところで一息入れ、と[óupn]の前に[]の音を挟んだ方が「音の強弱のリズム」を持って自然に発音できる場合はto (V)となるのでしょう。

            「文法化による形の縛り」と「口に出す時の自然さ」のバランスにより、実際の言語表現は決定されるのですね。
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