エキップ英語教室 エキップ英語教室

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塾長 ブログ

論理的思考をあきらめるな~corollary

2025/3/30

    令和7年度大学入学共通テスト〈英語〉は、5年の時をかけ熟成され良質な問題に仕立てられた。それでも共通テストの基本的性質は変わらない。超長文の中で、情報の検索能力と適否判断能力が求められる。選択肢の中から、テクストに一番沿ったものがどれであるかを見極められればそれでよい。処理能力が問われ、思考は求められない。
    おそらく、教育行政の要路に立つ人は、「要求をてきぱきこなす人材」を育成したいのだろう。「思考する」者は全体の2%もいればよい(それなら育まなくても自然発生に期待できる)。残りの98%は「思考せず、与えられた仕事で求められる成果を出しさえすればよい」がメタ・メッセージだ。
    課されるのであれば、対応しなければならない。しょうがないから面従腹背を決め込もう。しかし、知性は思考を求める。仮面の裏側に「思考」を忍ばせよう。
    「論理が要求する結論」のことを英語ではcorollaryという。思考を何重にも巡らして得た結論であるのなら、孤立を恐れず「これはコロラリーである」と言い切る勇気を持つこと。それが論理的に思考するということだ。

    〈内田 樹の論を下敷きにしたつもりです〉

    トレーナー

    2025/3/26

      去年の夏は暑かったが、今年の冬は寒かった。麗美な四季の国は、今や長い夏と厳しい冬の二季化が顕著だ。寒い冬には高性能なインナーが欠かせないが、アウターにも温かいものを求めたい。かつてはチャンピオンプロダクツの厚手のトレーナーなどが秋冬のアスリートの定番アウターだった気がする。
      trainerは本来、教える側の「教官」を指す言葉で、教わる側の「研修生」はtraineeと言う。ファストフードの店などでは、店員の名札にかわいく「trainee」と入っている場合がある。客が店員を育てなければならないのであって、カスタマー・ハラスメントなどをバラまく者は、店長が厳しく「出禁」に処さなければならない。
      日本語のトレーナーは、sweat shirtというのが英語表現で、本来「トレーナー」では「スウェット・シャツ」の意味にはならない。日本語のトレーナーは、かのVANの創始者・石津謙介が作り出した和製英語である。パーカーも同様に石津氏の創出語で、英語ではフードのついた衣類を表す「フーディー」(hoodie)と呼ばれる。
      チャンピオンプロダクツのトレーナーはいかにも「らしい」が、VANのトレーナーもかつてはアイビーファッションには無くてはならないものだった。
      For the young and the young-at-heartが懐かしい。

      大阪 公立高校 一般選抜 英語C問題から

      2025/3/23

        気になったのは大問1。
        空所に入る語句をア~エの選択肢から選ばせる問題だが、正解となる選択肢以外は「文法的に成立しない」誤答である。意味を成さないおかしな語句を示し、その適否を受験生に判断させるのは適当か?それよりも、語句整序の形式で問うのが美しくもあり適切でもあると思う。

        大問3には少し驚いた。空所に入る語を4つの選択肢から選ばせる。選択肢の後ろの(  )内の記号は、塾長調べのCEFR-Jによる語彙レベル。
        Many people know that cork is a [   ①   ] material because it can be recycled, and ~.  
        ア medical (A2)      イ narrow (B1)   
        ウ social (A2)     エ sutainable (B2)
        答えは「エ」なのだが、sustainableはB2レベルで「英検2級上位~準1級」相当の語だ。大阪府教育委員会による『大阪版中学校で学ぶ英単語集』には掲載されているが、B2レベルの語を、しかもそれが正解となるような選択肢で問うのは如何か。「SDGsって皆知ってますよね。ここではcan be recycledというヒントも付けましたし。sustainableは今日の中学生なら知っておくべき語でしょ」というメッセージか?

        全体として「話の流れを正確に捉えて英文を読めているか」が繰り返し問われているのはB問題と同様。大問6「Write what you learned from the experience, and after that, write how you changed through the experience.」に対しては、Writing練習を十分に積んでおくべきだろう。全体として上位者には無理のない問題で、英検2級取得レベルよりは容易であると思われる。

        大阪 公立高校 一般選抜 英語B問題から

        2025/3/19

          大問1・2共、「話の流れを正確に捉えて英文を読めているか」が繰り返し問われている。どのような力を測ろうとしているのか、作成者のメッセージは明らかだ。
          文脈を捉えていれば、文中の空所に入るべき文を選んだり、入る複数の文の順を答える問題、また本文の内容と合う英文を選ぶ問題は難しくない。
          同じ事が、文中の代名詞が指すものを、本文中から指定された語数で答える問題についても当てはまる。
          記述が必要な問題では、
          ① want+人+to (V)
          ② giveを使ったSVOO文型+不定詞・形容詞的用法
          ③ 使役動詞make+人+(V)
          ④ 関係代名詞・目的格thatの省略
          を表現できるかが問われた。
          help+人+(V)は、本文中から抜き出して使用することができるが、身につけておくべき表現と言えるだろう。

          中学校で学んでいる学習事項を身につけ、練習問題でそれを確かめておけば、高得点を取ることができるだろう。

          共通テスト分析セミナーに参加して

          2025/3/16

            数研が主催した「令和7年度 入学共通テスト〈英語〉分析」セミナーに参加した。講師は竹岡広信先生だ。ReadingとListeningで3時間ほど。個々の解説はエキップ英語教室での学習に還元するとして、ここでは「英語学習の方向性」についてフィードバックしたい。

            共通テストは分量が多く、処理スピードが求められるため、竹岡先生のところには「速読が苦手です」という相談が多いという。そういう生徒が求めているのは『1ヶ月でできる〇〇テスト対策』のようなショートカット・キーであるようだ。だが、そういう方法は奏功しないという。
            竹岡先生はそういう生徒に「英文はどれくらい読めるの?」と聞いてみるそうだ。多くの答えは「だいたいの意味は分かります」というもの。でも、この「だいたい分かるではダメ」というのが先生の結論だ。

            Q1 「自分は英文をしっかり読めているか?」
              〈注:ここでの「しっかり」は隅から隅まで不明点なく」の意〉
            →答えが「そこまでは…」なら、
            Q2 「自分に語彙力はあると思うか?」
            →答えが「そんなには…」なら↓
              先生の分析では「共通テストのスコアは語彙力に比例する」。

            共通テストは5年間で進化し、学力差が出る良問になっている。
            「語彙形成」に向けた努力の過程で、この学力差が生じるのだ。
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