エキップ英語教室 エキップ英語教室

大阪府 豊能郡 能勢町 下田尻1060

塾長 ブログ

down考

2024/6/13

    ×Speed down.という間違った表現がある。「スピード・落とす」のだから、正しそうに聞こえるかもしれないが、speedは「加速させる(↑)」の意味だから、down「下へ(↓)」と逆方向の動きとなり、なじみが悪いのだ。車がぎくしゃくした動きにならないように、そんな場合、〇Slow(↓)down(↓).と言わねばならない。
    さて、そのdownは「下へ」の意味を持つ「副詞」だが、時に「前置詞」としての活躍を見せる場面がある。テニスでボールをストレートに打ち返すことを、down the lineと表現する。これはもちろん「(サイド)ラインに沿って(まっすぐに)」の意味だ。沿ってということであれば、along the lineでもいいわけだけれども、発音してみるとdown the lineの方がリズム感があって発音しやすい。Walk down the street.は、〇「この通りに沿って行きなさい」であって、×「この通りの地下街に降りなさい」の意味ではない。こうなるとdownは「下に」の意味を完全に失っているので、Walk up the street.と入れ替えて使ってしまったりもする。

    ハブ&スポークス

    2024/6/11

      日本に比べて、アメリカ合衆国は国土が広いから(約25倍)、どこにでも地下鉄が走っている訳ではないし、鉄道が敷かれている訳でもない。だから、移動には車を利用することが通常で、数時間のドライブなら厭わない人が多い。でもさすがに、それ以上の距離ということになれば、飛行機を利用することにもなるだろう。
      ハブ空港という呼称が古くからある。ユナイテッドならシカゴ、デルタならアトランタ、アメリカンならダラスと、各航空会社が、拠点とする空港を構え、そこから放射線状に空路を全米中に巡らせている。その路線図を自転車の車輪に見立てて、「ハブ&スポークス」と呼ぶ。
      大阪の鉄道で考えれば、梅田を拠点とする阪急、淀屋橋を拠点とする京阪、難波を拠点とする南海が、それぞれの路線近くに住む乗客を囲い込み、固定客として目的地に運んでいるのに似ているだろう。私たちにとって、電車と言えば〇〇が自然と想起されるように、飛行機なら〇〇がアメリカ人の頭に自然と浮かび、日常の足として利用されている。

      不定詞の形容詞的用法・副詞的用法

      2024/6/8

        私が中学生だった時、定期考査に向け、不定詞の〈名詞的用法・形容詞的用法・副詞的用法〉の区別の仕方を覚えた。
        本来なら、品詞の役割〈名詞:文中でS、O、Cになる〉〈形容詞:名詞を修飾する〉〈副詞:名詞以外を修飾する〉と覚えておけばいいのだが、当時の私は「~すること=名詞的用法」「~するための=形容詞的用法」「~するために=副詞的用法」と学校で習った通り意味ベースで覚えた。しかし、これは和訳に依存する判別法だったので、形容詞的用法なのか副詞的用法なのか、ややこしい感が半端ではなかった。
        現在の中学生向き英語参考書にも、依然として同様の記述があるのには愕然とする。しかも「など」とか書くから、どこまで勉強しなければならないかと不安にもなる。

        〈to+動詞の原形〉形容詞的用法「~するためのなどの意味を表す。
        She has a lot of homework to do today.(①)
        I have  a funny video to show you.(②)

        〈to+動詞の原形〉副詞的用法「~するためになどの意味を表す。
        He came to Japan to learn Japanese.(③)
        I was very happy to hear the news.(④)

        形容詞的用法…①「義務:~すべき」、②「可能:~できる」
        副詞的用法…③「目的:~するために」、④「理由:~して」と書き直せば、中学生にもはるかに分かりやすいと思うのだが。

        本当のことを話そう

        2024/6/6

          私には黒人への偏見がありました。「怖いな。近づきたくないな」と思っていたのです。
          20代後半、ワシントンD.C.でのことです。なぜだか理由は思い出せないのですが、タクシーを待つ列に並んでいました。〈順番待ちの列のことをqueueと言います〉
          タクシーが到着して、客を乗せて出ていく。その様子を見ながら、私の番まであと3人になりました。タクシー運転手にはいろんな人種の人がいるようでした。白人、黒人、アジア系。そうしながら、私は心の中で「黒人の運転手には当たりませんように」と祈っていたのです。ひどいことを祈った罰なのか、私の前に停まったタクシーの運転手は黒人でした。こちらの動揺が伝わらないように緊張しました。
          運転手「どこから?」-私「大阪です」
          運転手「行ったことあるよ」-私「人が多い街でしょう?」
          運転手「そうだな。ワシントンも黒人が多いだろう?」-私「…(黒人の話題か。下手に答えると運転手を怒らせるかも)」
          運転手「なぜだか分かるか?」-私「(どう答えればいい?)さあ、どうしてでしょう?」
          運転手「ワシントンは首都だろう。だから美しくしておかないといけない。浮浪者がいると見栄えが悪いよな。で、政府がお金を出して、奴らに食事を提供したり、宿に泊まれるようにしてるんだ」-私「そうなんですか」
          運転手「そうさ。だから働きたくないけど、いい生活はしたい黒人が集まるんだよ」

          UP考

          2024/6/4

            Stand up.という表現は、おそらく英語学習の一番初期に、たぶん最初の授業の第一声として生徒の耳に響いてくる。そして、「起立」という挙動と共に、upの意味を体得する。
            upの持つ「上方に」という意味が緩やかに広がって、speed up「速度を上げる」とか、cheer up「元気を出す」という表現に至るのにさほど時間はかからない。
            upはさらに昇華して、「すっかり完全に」のレベルに達し、eat up「完食する」、clean up  the room「部屋をきれいに片付ける」、finish it up「全部すませる」などへとつながっていく。
            そしてその辺りで、upは浮遊し、tie up the parcel with string「小包にしっかりひもをかける」やgather up the toys「おもちゃを寄せ集める」のような類例を作り出す。
            やがて、upはbreak up rocks「岩を砕く」やtear up the newspaper「新聞紙をびりびりに破る」などの表現に加わるに及んで、「ばらばらの状態に」達すると、ようやく意味拡張の終焉の時を迎える。
            上へ