エキップ英語教室 エキップ英語教室

大阪府 豊能郡 能勢町 下田尻1060

塾長 ブログ

ぎゅっとした凝縮感

2024/10/30

    英語らしい表現は「文の要素がぎゅっと凝縮している」ことが特徴です。例えば、主語(S)-動詞(V)は距離を縮めて表現されることがよしとされます。
    △To make friends is easy.
            S                 V   C
    It is easy to make friends.
        S V  C
    形式主語のItを立てた下の表現の方が、「SVC」の文の要素の凝縮感が高いですよね。では、下の2つの表現のうち、より英語らしいのはどちらでしょう。
    1. To make friends is easy.
     〈不定詞の名詞的用法:~すること〉
    2. Making friends is easy.
     〈動名詞:~すること〉

    勝負は僅差。to make firendsなら主部は3語ですが、making friendsなら2語です。しかし、実際の使用頻度はmaking friendsの圧倒的勝利。それだけ、頭を軽くした「軽快で、文の要素がきゅっと詰まった」表現が好まれるのです。

    合目的的思考

    2024/10/27

      考えるという行為。頭を使って考えているようですが、使っているのは言葉です。言葉を介在させることなしに思考するということはできません。今の課題をどう捉えるか、改善策をどう立てるのか、実施に向けて予め予想しておかなければならないことは何か。それらを考えるには言葉が必要です。そして思考が複雑化する時、それに立ち向かうことを可能にするのは言語的に蓄積された母語の力なのです。
      エキップは英語教室ですが、学習者の母語である日本語を豊かにすることが、外国語を受け取る際にたいへん重要な役割を果たします。
      学ぶ目的は自分を豊かにすることでしょうが、自らを現状批判することがなければ、自分の能力を最大化することはできません。自分とは別の、もう一人の審判員を持ちましょう。自らの現状批判を2つの視点(例えば、のび太とドラえもん)から行うことによって、現状分析はより確かなものになるはずです。
      自分を改善へと駆動させてくれるのは、自分自身の言葉の力です。自己批判をルーティーンにして、自らを合目的的思考で後押ししましょう。

      helpはmake化するか

      2024/10/23

        前回のブログで、使役動詞+O+(V)の形を、「よく使用される表現は省略が進行する」という言語の特性によるものと書きました。
        同じ形をとるものに、「知覚動詞(see, hear, feel等)」があります。また、今日では一般動詞のhelpも「使役動詞・知覚動詞」化しつつあります。

        [昔] He helped me to open the door.
        → [現在] He helped me open the door.

        ただし、meのような短い目的語の場合はhelp+O+(V)が一般的ですが、目的語が長くてhelpと(V)がまとまったものと一目で見えないような場合には、help+O+to (V)が普通の表現です。
        [長い目的語] He helped the little boy to open the door.

        上で目的語が長くて「help+O+(V)が一目で見えない」という言い方をしましたが、むしろ「音」の問題として理解する方が適当かもしれません。help me open [heup mí: óupnとリズムよく、一気に(V)まで発音できる場合は原形不定詞(V)、
        help the little boy / to open [heup ðə lítl bɔ'i / tə óupnと動詞と目的語を発音したところで一息入れ、と[óupn]の前に[]の音を挟んだ方が「音の強弱のリズム」を持って自然に発音できる場合はto (V)となるのでしょう。

        「文法化による形の縛り」と「口に出す時の自然さ」のバランスにより、実際の言語表現は決定されるのですね。

        「受動態ではtoが追加される」は本当か

        2024/10/20

          手元の高校生向け文法書には、「使役動詞make、知覚動詞see/hearが受動態で使われる場合は、to不定詞を伴ってbe made to (V), be seen to (V), be heard to (V)の形になる」との記載がある。
          [能動態] Her jokes made us all laugh.
          [受動態] We were all made to laugh by her jokes.
          となるのだが、「能動態では原形不定詞(laugh)なのに、なぜ受動態では不定詞(to laugh)なのか」説明は一切ない。
          これはRaymond Murphyの[English Grammar in Use]でも同様で、
          We say 'make somebody do...' (not 'to do'), but the passive is '(be) made to do' (infinitive with to) とそっけない。

          使役動詞makeが後ろにtoのない原形不定詞を取るのは、「よく使用される表現は省略が進行する」という言語の特性によるものだ。
          [昔むかし・能動態] He made me to go to her.
          → [現在・能動態] He made me go to her.〈省略の進行
          [昔むかし・受動態] I was made to go to her.
          → [現在・受動態] I was made to go to her.
          使役動詞の受動態まで、まだ「省略の侵攻」が及んでいないだけ。

          不規則動詞と魚へん

          2024/10/16

            英語学習者なら、不規則動詞について、一度は煩わしい思いをしたことがあるのではないだろうか。規則変化なら-edを付ければよく、問題となる[t][d][íd]の発音も、「結局は発音のし易さの問題なのだ」と気づけば、不満は氷解する。
            幸い、不規則動詞は学習初期に学ぶ基本動詞であることが多く、中学3年間で学んだら無罪放免、その後悩むことはほぼ無い。では、なぜ、学習初期に「不規則動詞」などというハードルが用意されているのだろう。
            それは「よく使用されるものほどバリエーションが生じやすい」という言語の特性による。例えば、海に囲まれた日本では、魚は食材として欠くべからざるものだった。魚へんの漢字の多さは、豊かな食文化の象徴だ。
            come-came-come, 鮎-鰯-鰻
            go-went-gone, 鰹-鯨-鯉
            keep-kept-kept, 鮭-鯖-鯛
            take-took-taken, 蛸-鱧-鮪
            身につけてしまえば、なんてことはないけれど、学習初心者にとっては、「全部、-edにしといてよ」という気分になるのは仕方がない。習得の難易度を下げるために、「音を有効に使用し、目で見て、書いて、口にして」味わってみることを助言したい。
            上へ