エキップ英語教室 エキップ英語教室

大阪府 豊能郡 能勢町 下田尻1060

塾長 ブログ

「英検準1級」なのに『つきっきり』ってどうか

2024/11/20

    英検は高校進学・大学進学において非常に有効なツールだから、取得に向けて努力する人が多い。英検受験向けの対策問題集も多い。最近はアマゾンなどを利用する人も多いと思うが、問題集は実際書店で手に取って、ぜひ中身を確認して選びたい。
    同じようなタイトルの本でも、「各級に必要な学習範囲が理解できる」もの、「各問題形式に対しどう備えればよいのかがわかる」もの、「問題演習が充実している」ものなど、編集方針や内容が相当異なるので自分の学習目標に合わせて精選したい。
    さて、標記『つきっきりシリーズ』は「家庭教師のトライ」と山田暢彦氏のコラボ本である。残念ながら、語彙、解説、演習量などが充実しているとは言えるものではない。英検2級までなら、それでもなんとか用が足りるかもしれないが、「英検準1級」の高みを目指そうという学習者には推奨できない。『つきっきり』という軟弱なタイトルとその痩せた中身は、本来〈準1級に向けた努力によって得られる充実した学習〉とはかけ離れた、「ベクトル違い」の問題集であるように思われる。

    SVOOと、SVO+前置詞+Oの違いは

    2024/11/17

      ①My grandmother gave me the ring.[SVOO文型]は、人に当たる目的語の前にtoをつけて後置される場合もあります。
      ②My grandmother gave the ring to me.においては、前置詞付きの名詞[to me]は修飾語になるので、[SVO文型]となります。
      2つの表現はどう違うのでしょうか。おそらく中学校では、「人」の前に相応しい前置詞をつけて文末に置くという機械的な問題演習をやって終了でしょう。
      なぜ2つの表現があるの?というかわいい質問があれば、勉強している先生なら次のように答えます。
      ①はWhat did your grandmother give you ■?「何をあげたの?」に対する答えとなり、
      ②はWho(m) did your grandmopther give the ring to ■?「誰にあげたの」に対する答えになります。
      ■に当たるものが疑問詞として置かれ、それに対する返答がそれぞれ①②になります。
      ①My grandmother gave me the ring.「その指輪よ」
      ②My grandmother gave the ring to me.「私によ」

      英語では新情報(知らなかった貴重な情報)を文末において、「end focus(文末焦点)」を作ることが通例だからです。

      文末に新情報=文末焦点

      2024/11/13

        コンパクトに文の頭部をまとめるのが英語らしい表現でした。
        △To make friends is easy.
                S                 V   C
        〇It is easy to make friends.
            S V  C

        It~to(V)の形式主語を用いた表現のもう一つの効果は、「文末に新情報を置く」という英語らしさを同時に実現していることです。新情報は聞き手・読み手にとって、初めての話題なので、関心がそこに凝縮される訳です。
        To make friends is easy.なら、文焦点が当たるのはeasy「簡単だよ」ですが、It is easy to make friends.なら、文末焦点が当たるのはto make friends「友達を作ること」になります。
        「SVC(それって簡単だよ)→友達を作るのは〈言いたいこと〉」
        文末の情報に「焦点」が当たります。これは文法用語で「end focus」と呼ばれます。その「文末におかれた」新情報を引き継いで、話は展開されることになります。

        factなの、opinionなの?

        2024/11/10

          本音と建て前。日本文化のことではなくて、アメリカ人の心理です。トランプ氏を大統領に選ぶ選挙結果は、「ぶっちゃけ、本音を言えば…」が「政治的な正しさ(political correctness)」=「黒人、女性、LGBTQに対する配慮」を投げ飛ばしたようなものでしょう。アメリカ国内での「激情が知性を抑え込んだ」結果を受け止めつつ、世界には知的にアメリカに対応してもらいたいと思います。
          アメリカ大統領選の候補者たちの主張をファクトチェックする記事や報道を目や耳にすることがありました。fact「事実」とopinion「意見」を識別することは、情報を認識する際に重要な視点であり、共通テストにも出題されます。例えば、長文読解問題の選択肢が「本文の内容と矛盾しないかどうか」だけでなく、それが「事実に基づいた記述なのか、意見に基づいた記述」なのかを識別する「思考力・判断力」も必要になります。

          (1) The President is to visit Kyoto today.
          (2) The President will visit Kyoto today.
          2つの表現とも「大統領は今日、京都を訪問」の大意は変わりませんが、(1) be動詞の現在形を用いた表現は動かない予定で、(2) 助動詞willを用いた表現は話者・筆者の推量です。

          要旨を理解し方向性を知るのは重要ですが、情報が発信する「ディテール」にも注意しなければ、正確な理解には至りません。

          Nihon / Nippon

          2024/11/6

            今年のプロ野球日本シリーズはDeNAが勝利し日本一を達成しました。日本シリーズの英語表記は「Nippon Series」となっています。スポーツ応援と「Nippon」は馴染みがよく、「にっぽんチャチャチャ」の大声援は団体スポーツの国際大会でよく耳にするような気がします。
            日本を発話する際、「にほん」と「にっぽん」はどのように使用識別されているのでしょうか。特定の固有名詞でない限り、NHKアナウンサーの読み方は『場面に合わせて』決定されるそうです。
            10月11日、ASEAN首脳会議に出席するためラオスを訪問中の石破首相は、当日の首相会見の冒頭で、日本被団体協のノーベル平和賞受賞に対し祝意を述べました。この際、首相は同協議会名を『にっぽんひだんきょう』と呼びましたが、Wikipediaによれば、同名は『にほん―』です。首相は無意識で[意識的に]そう呼んだのでしょうか。
            かつて、哲学者の鶴見俊輔が、「にほん」ではなく「にっぽん」と発せられる際の日本人の心理の危うさについて、「集団心理」を醸成するのに「にっぽん」の呼び方が巧妙に用いられる可能性について著作に記していたように思います。
            おそらく鶴見は「Nippon」の破裂音[p]が平静をかき消し、扇動をもたらす可能性に憂慮したのでしょう。知らず知らずのうちに、沈思黙考を排除し、責任性を一考することもなく、一気呵成に激烈な集団行動に移行する国民性を心配したのだと思います。「にっぽん」と発せられる場面が『いったいどのような場面』か注意深く見る必要があると思います。
            上へ