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塾長 ブログ

仮定法現在は名称変更が必要か

2025/9/14

    仮定法は、分詞構文と並んで、大学入試レベルの長文の中ではよく出て来る表現形式だから、高2の内には慣れ親しんで、戸惑うことのないようにしておきたい。
    仮定法過去・仮定法過去完了から学習を始め、仮定法未来くらいまでは何とか守備範囲に入っている生徒も、「仮定法現在」と聞くと「何それ?」という反応がほとんどではないだろうか。仮定法現在は「提案・要求・命令」を表す動詞に続くthat節の中で「動詞の原形」を用いるという表現形式だ。
    Jim suggested that mom wait a little longer for dad.
    「ジムは、母親にお父さんをもう少し待つように提案した」
    文の動詞がsuggestedと過去時制であるにも関わらず、that節内の動詞が時制の一致されず、waitという動詞の原形が用いられる。これは、that節内が「お父さんをもう少し待ってよ!」という「命令文(動詞の原形で始まる)」であり、その前に主語が置かれたものである。
    Jim suggested→mom+Wiat a little longer for dad.
      〈提案・要求〉「だから」〈命令文〉

    これが仮定法とされるのは、that節内の内容が「実際にはまだ行われていない、仮定の内容」であるからなのだが、動詞の現在形を使う訳でもないのに「仮定法現在」と言われる辺りに、高校生の理解が進まない理由があるように思われる。名称が「仮定法特殊命令文」ならば、ずっと分かりよくないだろうか。

    『英文法ハンドブック』

    2025/9/10

      9/7(日)、駿台予備学校が主催する教育探求セミナーに参加した。竹岡広信先生から直接、英語に係る最良の金言をいただける珠玉の機会である。先生のご紹介では、遠くは九州からの参加者もいらしゃったようだ。時間以外に、受講料、交通費、もしかしたら宿泊費も必要かもしれない。それでも参加したいと思わせる魅力が竹岡先生のセミナーにはある。私も、最上のモチベーションと課題を得た。
      参加者全員に、今年出版されたばかりのご著書『英文法ハンドブック』が贈られた。竹岡先生の知識の全体像を何とか把握するのに、これまでは各著書を読み込んで、各教材に橋を架け、情報を整理・蓄積していくことが求められた。それは英語指導者として、何を準備しておくべきなのかを知る最良の機会でもあるのだが、手間暇を必要とすることも事実であった。それがどうだろう、このハンドブックが傍らにあれば、湧いてくる疑問を全て竹岡先生にぶつけて、的確な解答を得ることが最小の努力で叶えられるようになったのだ。上梓されたばかりで、いくつか編集上のエラーがあるようで、既にお気づきの個所をいくつか教えていただいた。参加者は「使い込んでいただいて、間違いを発見されたら竹岡に教えてください」とのお言葉をいただいた。年末までの4カ月、ゆっくり竹岡先生の知識を吸収し、万一誤植を見つけたならば、お礼に報告したいと思う。

      接続詞なのか、前置詞なのか

      2025/9/7

        We must be willing to reexamine the evidence behind a claim rather than accept/accepting it blindly.
        「私たちは、ある主張を盲目的に受け入れるのではなく、その主張の背後にある証拠を厭わず再検討しなければならない」

        thanを接続詞だと考えれば、(to) reexamineとの対比で、原形不定詞accept。
        thanを前置詞だと考えると、動名詞acceptingとなります。

        文法規則が先行する訳ではなく、使用実例を解きほぐすために文法があります。
        まず、そんな表現があるのだなと鷹揚に受け止めて、そういうことなんだねと理解を示す。外国語に興味を持ち、母語との比較考量を重ねながら、そういう言葉の紡ぎ方があるのか!もっといろいろ知りたいという気持ちがどうやれば芽生えるか。教える立場の者が先ずはおもしろがること。言葉を扱う職業を持つ者の思いは変わらないだろう。

        単純でジャンクなものを食べるかどうか

        2025/9/3

          〇〇人ファーストを掲げる人達がいる。アメリカにもいるし、イギリスにもいる。だから日本にいても不思議ではない。ポリティカル・コレクトネスなど聞こえの良い話は偽物で、粗雑で単純でジャンクに思われる主張こそ本物であるという立脚点は未だ一定支持されているようだ。
          多面的に物事を監察し考えることに疲れた人々のニーズに合っているのだろう。しかし、時間をかけた観察や思考にこそ、善なるものがひそんでいると教えてくれる人もいる。

           善なるものというのは多くの場合、理解したり嚙み砕いたりするのに時間がかかるし、面倒で退屈な場合が多いんです。でも、「悪しき物語」というのはおおむね単純化されているし、人の心の表面的な層に直接的に訴えかけてきます。ロジックがはしょられているから、話が早くて、受け入れやすい。だから、汚い言葉を使ったヘイトスピーチのほうが、筋の通った立派なスピーチより素早く耳に入ってきます。

          (村上春樹『みみずくは黄昏に飛びたつ』126頁)

          学力を測る英語問題-3

          2025/8/31

            英検3級の過去問から、
            問.(        )に入れるのに最も適切なものを一つえらびなさい。
                Father: Lucy, don't run across the street. (          )
            Daughter: Don't worry, Dad. I won't.
                1  It's dangerous.
                2  It's time to go.
                3  It's for you.
                4  It's over there.

            「ルーシー、通りを走って渡っちゃいけないよ。(   )」
            「大丈夫よ、お父さん。I won't.」
            I won't.をI want.と取り間違える人は2を選ぶ可能性もあります。won't=will notから、それ以下に省略されている個所(重複部分)が何であるかつかむとI won't (run across the street).であることがわかります。
            損得が行動基準の人は3を選んでしまうかもしれないし、あっちの横断歩道を渡るように言ってるんだなと勝手に捉えてしまう夢想家は4を選ぶかもしれません。「ダメだ。(理由提示)→反応。情報追加による意思伝達」から、間違いなく1を選べるのが学力のある子です。
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